お仕事レポート

ビジネスホテルのフロント業務で、品格よりも大切なことって?

今回お邪魔する事業者さん
・アズイン半田インター
・所在地:愛知県半田市宮本町6-216-1
・開業:2006年(半田インター) アズイングループは1999年
・従業員数:18名(半田インター) アズイングループは50人程度


ホテルのフロント業務というと、品の良い制服、美しい所作、ニッコリ笑顔で案内ハキハキ。そんなイメージがあるのでは? 実際、どんな仕事なのでしょう。「アズイン半田インター」でフロントスタッフを務める、伊藤恋(いとう・れん)さんにお話を聞いてみました。

ホテルのフロント業務って?

アズイン半田インターは、シングルルームからファミリールームまで127室を備えたビジネスホテル。その名の通り半田インター近くにあり、仕事のために宿泊するビジネスマンがほとんどです。まずは普段、どんな風にお仕事をしているのかを、訊いてみました。

「フロントスタッフは10人いて、ホテルは24時間の業務なので、昼間担当が3人、夜間担当が7人で、シフトを組んで仕事をしています。私は、日勤と呼ばれる昼間担当です。男女は半々で、20~30代が多いですね。フロントでのチェックイン・チェックアウトの対応や、電話対応、予約受付、お客様への館内案内などをしています。簡単なパソコン業務も行います」。

左から伊藤さん、笠井さん

フォーマルな仕事だから自分の品格が育つ

派遣として勤めはじめ、2年半経った現在は正社員の伊藤さん。それまでは飲食業での接客を仕事にしていて、ホテルのフロント業務はここが初めてだったそうです。

「業界は違っても同じ接客業なので、お客様にお話する役割、という点では不安はなかったですね。ホテルのフロントという役割に変わっていいなと思うことの1つは、フォーマルな仕事だということ。お客様への言葉遣い、ご挨拶の仕方、手の差し出し方ひとつとっても品の良さが求められます。そうしたことって、仕事だけでなく自分の人生に生きてくるので、学べてよかったと思いますね」。「ここで働いて、自分自身が“整った”という感じがします」と伊藤さんは笑います。

泊まらないのに寄ってくれたお客さん

働いてみると、意外とザ・ビジネスマンという人よりも、工事現場で働くために長期的に泊まっていくお客さんが多いことに気づいたそう。「もしかしたらそれは、知多半島の地域柄なのかもしれません。長期で泊まって、その後しばらくはいらっしゃらないんですが、また1年後ぐらいに工事に来られて。そんなお客さんとのやりとりで、嬉しいことがあるんです。それは、私たちを覚えていてくださること。1年も経っているのに前回お会いしたことを覚えていて、声をかけてくださる。ありがたいなと思います」

なかには、こんなお客さんも。

「お~い、伊藤さん!」

「あれ?今日、ご宿泊ではないですよね」

「うん、近くまで来たから、これ食べて」

「宿泊の予定はないのに、わざわざ寄ってくださったんです。手土産をいただくことも多くて。ビジネスホテルって、もっと事務的な感じかなと思っていたので、こういうお付き合いができるのは嬉しいですね」

数分のやり取りの中に、親しみとあたたかさを

そうした接客ができているのは、アズイン半田インターならではのことなのかもしれません。ホテルならではの丁寧な接客は保ちつつも、「ただいま」と言いたくなるようなアットホームな対応を大切にしているそう。お客様情報を管理している画面にも、ちょっとした自由メモ欄があるそうで……。

「例えば、私が接客した時に“明日、ライブに行くんですよ”なんてお話が出たら、『ライブ』『〇〇のファン』というようなメモを書き込んでおきます。そうすれば、別の人が対応する時や、次に来てくださった時にも、会話のきっかけが作れるじゃないですか。毎回、釣りに行くときに利用してくださるお客様のことは、スタッフ全員が『釣り好き』だと、ちゃんとインプットしていますよ」

遠方の旅先で、こんな風に自分を待ってくれているホテルがあったら、嬉しいだろうなと思います。ましてやビジネスホテルでこんな対応なら、きっと期待以上!と感じる人も多いのでは。「ホテルのフロントスタッフとして、お客様と接することができる時間は限られています。チェックインとチェックアウト以外は、お客様が何かお尋ねになるときぐらい。その短い時間の中で何ができるか。それを追求するのは、仕事の面白さでもありますね」

社内の仕組みで自然にレベルアップ

こうした追求を面白いと感じ、前向きに取り組んでいけるのには、社内の仕組みによる下支えがあるからだと、伊藤さんは言います。「こんな接客をしてお客様に喜ばれた、ということがあったら、全員が見られるチャットに書き込みます。お互い書き込むので、ほかのスタッフの事例から学べることも多くて、こんな切り口があるのか!と、バリエーションを広げやすいんです。会社もこうしたやり取りをよく見てくれていて、積極的に頑張るほど評価が上がり、給与にもちゃんと反映してもらえる。やる気も出ますよね」

このあたりの仕組みづくりは、全国に4拠点をもつホテルグループだからこその「きちんと感」を感じます。「研修もしっかりあるので未経験からでも成長しやすいですし、マニュアルがスマホでも見られるのは、今の時代に合っていていいなと思います。入社すぐの頃もありがたかったですが、今のように先輩的立場になっても、後輩たちがマニュアルを自分のタイミングで見て仕事を進められる、というのはお互いストレスにならなくて、理にかなった仕組みですよね」

意外?希望日に休みやすい勤務体制

「そうそう、意外と希望日に休みやすいのもこの仕事の良さかも」と伊藤さん。ホテル業というと、土日も昼夜も関係なく営業しているので、休みの調整がしづらいのでは?と思うのですが……。「だからこそ、各々が自分の“絶対休みたい日”を通しやすいんです。別に毎週土日に休みたいわけではないし、むしろ平日でも休ませてほしい日もある。私の場合は、推しのライブに行く日は外せない。ライブは平日にもありますから、そこでちゃんと休めるというのは、私の中ではかなり大事なことです」。他のスタッフにもそれぞれ大事にしたい日があり、そこが休めることを評価する声は高いようです。

支配人からスタッフまでが仲間

ここで、支配人の笠井文菜さんにも登場いただきました。第一印象、お若い! 「30代です。自分も10年ほどフロントスタッフを経て支配人になったので、その大切さはとても感じています。今でも時々サポートに入るのですが、“お客様のために”という気持ちが強くなります。何気ない会話を交わしながら、あたたかみがある接客をしたいと思いますし、私たちもお客様のひと言や笑顔に、幸せをいただいていると感じます」

隣の伊藤さんが「女性同士だし年代が近いので、とても話しやすくて助かっています」と話します。「相談ごとも躊躇せずに持ち掛けられるし、距離感の近さが仕事にプラスになっているなと感じます」。支配人からスタッフまで年代が近く、お互いの気持ちに共感しやすいのが雰囲気の良さにつながっている様子。「シフト調整や、業務で困った時なども、さっと助け合える空気感ができていて、いいチームだなと思います」

ホテルの「ファン」を増やしたい

最後に、今後の目標を訊いてみると、笠井さんは「スタッフの声をよく聞いて、働く環境をより良くしていきたい」、伊藤さんは「周りのスタッフたちにとって頼りがいのある人間になれるよう、自信をつけていきたい」と話してくれました。どちらもその心は、「来てくださるお客様に喜んでいただき、ファンになっていただけるくらいの愛着を育てられるホテルであれるように」。それを引っ張るフロントスタッフは、ホテルの“顔”。品の良さはもちろん、相手を思う笑顔や会話のあたたかさが大切な仕事なのでした。

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チタジョブライター
田代涼子
ブランディングライター、中小企業診断士。人物取材と伝わる言葉づくりが大好きです。コココリン(半田市創造連携実践センター)でも働いています。岐阜県出身、半田市在住。旅と散歩とカフェが好き。ひとかけらの言葉もちゃんと拾って、その奥にある大切なものを伝えたいと思っています。
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