事業者レポート

婚礼家具から100年経ったら、店も家もつくっていた!創造性ある空間づくりで人を豊かに

今回お邪魔する事業者さん
・株式会社デザインセンターオワリヤ
・所在地:半田市松堀町287-3
・創業:1926年
・従業員数:16名

2026年で創業100年となる「デザインセンターオワリヤ」(愛知県半田市)。婚礼家具の制作から始まって、今は店舗や住宅までを手掛ける企業になりました。100年のストーリーと現在の取組みを、社長の榊原貴博さんに伺いました。

時代とともに変わってきた事業内容

「1926年に、曽祖父が“尾張屋タンス店”という名で事業を興しました。当時は結婚のときに家財道具一式を持って嫁入りする時代。華やかな婚礼箪笥を中心に、家具の制作から事業が始まりました。祖父の代になると内装業を始め、3代目の父の時に店舗の建築をするようになりました。商店街がどんどん出来て、店舗をもつ人が増えた時代ですよね」

榊原貴博社長(左)

榊原さんの話を聞いていると、時代の移り変わりとともに事業内容を少しずつ変え、また大きくなってきたという変遷が分かります。そんな中で100年間、大切にしてきたことは何だったのでしょう。「目の前のお客様のために自分たちは何ができるか、それを出発点に物事を考える、という姿勢ですかね」。お話を聞いていくと、その姿勢だからこそのオワリヤの特徴が2つ、見えてきました。

榊原さんの幼少期。この頃から家の事業を見て来た

幅広い仕事を同じ敷地内で完結

ひとつは、同じ敷地内にすべてが揃っていること。オワリヤを訪ねると、お客様対応のスペースから、設計などを行うオフィス、建築や素材の情報がそろった資料室、そして家具を組み立てる工場までが、敷地内に揃っていました。各々が持ち場で仕事をしながらも、時折相談に出掛けたり、集まって話し合ったりという姿が見られます。「スタッフ同士が必要に応じて声を掛け合いやすい環境があり、臨機応変に動けることで、お客さんのこんな思いも対応してみよう、という柔軟さが出るのかも」と榊原さん。

また、お客さん自身も資料を見ながら具体的な設計について相談したり、依頼した収納家具の出来栄えを見に訪れたりでき、よりリアルに自分のイメージと照らし合わせることができます。「お客様のためにできることは、できるだけやりたい。量産型の仕事ではないからこそ、ひとつずつに丁寧に対応していきたいですね」

お客様のイメージづくりのために、家の立体模型も各種揃っている

「初めまして」から「ありがとう」まで一貫して担当

もうひとつ特徴的なのは、「何でもできるスーパーマン」(スタッフ談)が多いこと。大きな住宅メーカーなどはもちろん、地域の工務店でも営業、設計、施工管理、という風に、それぞれ担当者が変わるのが一般的。ところがオワリヤは基本的に、工務部門のひとりひとりがそれぞれに、打合せから完成まで、一貫して担当するのです。

「この会社はとても自由。できるんだったらどこまでもやってみたら、と任せてくれます。だから打合せでしっかりお客さんの想いを聞いて、予算の中でそれを叶えるために自分でせっせと考えて手を動かして、施工もしっかり関わって、最後に顔を見てありがとうって言ってもらえる、そんな働き方ができるんです。それを楽しいと思えるかは人によると思いますが、僕はそんな働き方が好きで、もう20年以上やっています」と工務部門の新美さん。

工務部門の新美さん(右)

同じく工務の水野さんは4年目。「自由にやれる」の前に「実力があれば」という言葉をつけ足してくれました。「僕は空間デザインの勉強をしてきてここに入社しました。やりたいと思う分だけ勉強も必要。まだまだもがく毎日です」

モニターに向かい設計をする水野さん(右)。後ろは新美さん

創意工夫の中でゆずれないもの

それぞれが自由な発想と努力で「お客様のために」を実現していくという企業姿勢は、ともすれば「自分勝手」をまき散らす集団になりかねません。しかしそこにはちゃんと、大人の分別とプライドがありました。榊原さんの案内で、各部門のスタッフさん達にお話を聞いた中、例えば家具部門。

「お客様は家具のプロではないので、どこに手間がかかるとか分からないし、具体的な希望伝えづらい。だからこそ、出来上がってお渡しした時に、 “これ良いね!”って言われるものを絶対に作る、という気持ちでやっています」(川野さん/社員歴26年)

「使ってくださるときのことを思い描いて、ひとつひとつに熱い気持ちを込めて作っています」(木下さん/社員歴5年)

年数は違えど2人とも「職人魂をもって」取り組んでいるそうです。

川野さん(手前)と木下さん(奥)
図面を見ながらオーダー家具を製作する木下さん

また、現場監督を任されて4年目の竹内さんにも聞いてみました。「自分はお客様の要望と、予算や工程の中で対応できることの調整役でもある。“それはできません”って言ってしまうのは簡単だけど、どうすればできるのか、を常に一生懸命考えるようにしています」

家づくりの現場で話を聞かせてくれた竹内さん

店舗建築の経験生かし、住宅へ

5年前に榊原さんが4代目社長に就任したころから、オワリヤではさらに新たな取り組みが始まりました。それは、住宅建築に力を入れていくこと。もともと店舗の建築がメインで、相談のあったときだけ住宅もつくってきたのですが、コロナ禍を経て「住宅をもうひとつの柱に」と、積極的に取り組むことにしました。
ここでは、今までと違ったチャレンジも。「いわゆる、営業。そしてオンラインでの相談もできるようにしたことですね」。社内に適任のメンバーがいなかった営業面は、業務委託でプロの力も借りることにしました。「さすがにお話上手なので、私たちもとても勉強になります」と、榊原昌代さん。

住宅部門について説明する榊原昌代さん

「新しい取組みなので、集客のための情報発信など、試行錯誤で取り組んでいます。ほら、名刺の肩書も一応“お客様相談室”。これも新しく作りました。資料室を使って、いろんな情報を提供しながら、家づくりの相談にのらせていただいています」

店舗を作って来たからこそのノウハウが、オワリヤだけの強み。「店舗というと、華やかなデザイン性に目が行くかもしれませんが、同時に動きやすい動線やジャンルごとの専門性が必須の仕事です。そこに長けた自分たちだからこそできる家づくりの良さをお客様に伝えられるよう、頑張っていきます」

オワリヤが建てた注文住宅

あたたかく認め合い、皆でお客様のために

社長の代が変わり、最近はさらに社内の風通しが良くなっているそう。「もともと信頼して任せるスタイルではありましたが、迷ったり相談したりしたい時に、気軽に声をかけられるようにと意識しています」と、榊原社長。

前述の木下さんも「いろんな人の家具作りを見ている現場監督が“おまえ、上手くなったな”って言ってくれた時、とてもうれしかった」と話してくれました。お互いの仕事ぶりを見て言葉で伝えあう、あたたかい雰囲気を感じます。「入って数年は、自分が成長していくことが楽しくてやりがいだった。今はもう少し視野が広がって、会社としてどうなのかと考えるようになった」とは、新美さん。20代から60代まで幅広く揃った組織の中で、個性がバランスよく輝いている、そんな様子でした。

婚礼家具から始まり、時代とともに「お客様の必要とするものを」つくり続けてきたデザインセンターオワリヤ。社名に入った「デザイン」はきっと、お客様の豊かな暮らしを描き出すという創造性と、創造の範囲を限定しない柔軟性を表している、そんな気がしたのでした。

パティスリー ラ·ミモザ(半田市)
パティスリー くむら(武豊町)

お洒落な外観が目を引く、オワリヤによる店舗デザイン、建築

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チタジョブライター
田代涼子
ブランディングライター、中小企業診断士。人物取材と伝わる言葉づくりが大好きです。コココリン(半田市創造連携実践センター)でも働いています。岐阜県出身、半田市在住。旅と散歩とカフェが好き。ひとかけらの言葉もちゃんと拾って、その奥にある大切なものを伝えたいと思っています。
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