事業者レポート

本当の車好きは、車体よりもタイヤを追求する?車オタクが集まる、半田のタイヤ専門店

今回お邪魔したのは…
・有限会社住吉タイヤ工業所
半田市住吉町3-133-4
・創業 1963年
・従業員数 20人

店舗に入ってまず目につくのは、正面に並んだ美しいホイール。横にはブリジストンのタイヤがずらり。隣は整備工場。タイヤやホイールなど車まわりのパーツ交換や整備などを扱う住吉タイヤ工業所。「ミスタータイヤマン住吉」として知っている人が多いかもしれません。社長の竹内宏樹さんに、仕事の魅力や事業への想いを訊いてみました。

社長の竹内宏樹さん

三代続く、住吉のタイヤ屋さん

「祖父が事業を興して、僕で3代目です」と語る竹内さん。今は父親が会長を務め、自身が社長。男3人兄弟で、弟の佑真さん、寿成さんも一緒に事業を盛り立てています。「創業時は、トラックのタイヤを専門としていました。物流が増えて、知多半島道路をトラックがたくさん走るようになった頃です。父親の代で事業を広げ、乗用車のタイヤを扱うようになりました。家庭でも自家用車の所有台数が増えていった時代ですね」

竹内さんが3代目社長に就任したのは5年ほど前。今もまだ30代と、若くして重責を担っています。「昔はパンクを直すなどの仕事が多かったようですが、今は劣化や季節に合わせたタイヤの交換、趣味としてカッコ良くしたい方のためのタイヤやホイールの提供、車検など、幅広く行っています。オイル交換をきっかけに通っていただくようになるお客さんが多いですね」

フロントスタッフの皆さん。「明るさと共感力で、どなたも来ていただきやすいお店を目指しています」

「タイヤ専門店」として知られていますが、最近は民間車検指定工場の認証を受け、さらにレベルアップ。入社時には自動車整備の知識が薄かったスタッフも、「車に触れば触るだけ、実力もつく」という方針で車に触りながら実力を伸ばしています。

整備関連のまとめ役は次男の佑真さん。「スタッフには、お客様の命に関わる仕事だという意識を根気よく伝えています」

車のカスタム好きが高じて、ホイールを自作!?

車が好きな人たちが集まっている会社。自身の愛車で通勤し、会社の工具での「車いじり」を、何よりの楽しみにしている人も多いそうです。「車高を下げたり、タイヤやホイールをお気に入りのものに変えたり。“ドレスアップ”と言うんですが、周りから見たらそんなことにどれだけお金をかけるの、と言われるような(笑)。でも、ここはそんな人がたくさんいるから、話も合って楽しそうですよ。皆、個性ある車で出勤してきます。会社としても、そうした姿勢が整備や提案の質につながると考えているので、大歓迎です」

そんな中なんと、自らホイールを作ってしまったのが入社3年の伊藤さん。「自分が理想とするホイールが、世の中に無かったんですよね。そうしたら“作ってみては?”と社長に言われまして。え!そんなことまでさせてもらえるの?と、驚きましたね」。見た目よりもとにかく乗り心地が良く、よく走る―そんな車を目指して、重量を極力軽くし、インチダウンをしてタイヤの接地感や安定感を上げました。出来上がったホイールが素晴らしくて、伊藤さんだけでなく竹内さんもさっそくマイカーに装着。お店にも販売品として陳列しました。「伊藤モデル」の誕生です! 「探求心をもって楽しく働いてほしいので、こうした挑戦はどんどん応援したいですね」と竹内さん。

車のメンテナンスに励む伊藤さん
中央のシルバー色が、伊藤さん考案のホイール

車体よりもタイヤこそが面白い!

今では「自分の歳と一緒のロードスターが僕の相棒」と語り、車好き感でいっぱいの竹内さんですが、もともと根っからの車好きというわけではなかったそう。「家業なので継ぐつもりではいたんですが、そんなに興味はなかったんですよね。でも車の仕事に携わるうちにまず、タイヤのことをすごく面白いと思うようになりました」

「皆さん、車といえば目が行くのは車体。タイヤなんて脇役の黒いかたまりってところでしょう。でもね、乗り心地も、スピードも、運転のしやすさも、本当はみんなタイヤが重要なんです。タイヤを替えたら、急に運転上手になっちゃったりしますよ。それを知ったとき、僕はタイヤを“実験対象”として面白いな、と思っちゃったんですよね」

美浜町にあるサーキットにも、よく出かけるそう。「3ヶ月に1回くらい、仕様を変えて出かけます。タイヤをどうやってグリップさせるかをいろいろと試してみるのが面白いんですよね」。確かにそれは「実験好き」の遊び方と言えそうです。

サーキットには、スタッフたちと一緒に出掛けることも。「それぞれの車で走ることもあれば、皆でカートに乗ってタイムレースをすることもあります。基本的に皆、タイヤだけじゃなく、車が好きで、速く走ることも好きなので、そうした仲間が身近にいて一緒に楽しめるという職場環境は、我ながらいいなと思いますね」

美浜サーキットで走る竹内さん

地域への想い強く「快走通信」を発行

「僕らが小さい頃って、小規模の〇〇モータースや〇〇タイヤって、けっこうあったでしょう。でも後継者がいなかったりで少しずつ減っています。なじみの店が閉店しちゃって、と困る人たちも多く、その受け皿になりたいと考えています。社名にも“住吉”とあるように、僕らは住吉エリア密着で、この地域の人たちの頼れる存在でありたいですね」

「こんなのも自分たちで作っているんですよ」と竹内さんが見せてくれたのは、「わくわく快走通信」と名付けられた地域情報のフリーペーパー。地域のおすすめ店紹介やスタッフの素顔が見れるような記事が並び、車やタイヤの有益な情報も載っています。お父様の代から始め、なんと2026年2月で63号に!「父の頃は季節ごとに出していたんですが、今はさらに回数を増やして月1回出せるように頑張っています」。住吉町周辺に6000部を配っていて、楽しみに待っている人も多い様子。「こうした活動もしますし、地域の祭りにも精を出しています。地域としっかりつながってこそ、商売がしていけるのだと思っています」

わくわく快走通信。「グルメ記事の取材は家族で出動!妻が取材をして僕が書いています」

車まわりの「かかりつけ医」

「これから、どんなお店になっていきたいですか」と訊いた時も、竹内さんらしい地元愛の詰まった返事が返ってきました。「この辺には車関係の事業者さんがたくさんあるので、今以上に連携して一緒にまちを盛り上げていけたらいいですね。“車にまつわることなら、住吉町に行くのが一番”と言われるような」

車オタクが集まり、好奇心をガソリンにしてレベルアップが図られる一方で、車のことが分からない人にも優しいお店をと接客を磨いてきた住吉タイヤ工業所。まさしく「こんなお店が近くにあったらありがたい」という、車まわりの「かかりつけ医」のような頼れる存在感を感じたのでした。

チタジョブライター
田代涼子
ブランディングライター、中小企業診断士。人物取材と伝わる言葉づくりが大好きです。コココリン(半田市創造連携実践センター)でも働いています。岐阜県出身、半田市在住。旅と散歩とカフェが好き。ひとかけらの言葉もちゃんと拾って、その奥にある大切なものを伝えたいと思っています。
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