今回お邪魔する事業者さん
・知多信用金庫
・所在地:半田市星崎町3丁目39-10
・創業:1927年
・従業員数:488名(常勤職員のみ)
「信用金庫」と「地方銀行」。地域に根差した金融機関という点では同じでも大きな違いがあるのを知っていますか。信用金庫は営利組織ではなく、地域企業や住民と互いに助け合う 「相互扶助」の精神がベースにあります。その仕事内容、やりがいなどを、知多信用金庫で働く野崎さん・澤田さん(人事教育部)、久保さん(営業統括部)に聞いてみました。
「ご縁を結ぶのが私たちの仕事」
「このサイト、先月新しく公開したばかりなんですよ」と、久保さんがひとつのサイトを見せてくれました。サイトタイトルは「縁結び」。優しい色合いで、地域の人のイラストに職員が寄り添っているのが印象的です。読んでいくと、縁結びの糸がサイト内を伸びていきます。

「知多信用金庫のサイトとは別に、地域での活動を伝えていきたくて、このサイトを作りました。まちの中のご縁をひとつずつ結んで行く力になれたらいいですね」。サイトには、地域イベントに参加した様子や、子どもたちへ金融の講座をした話などが載っています。「各営業店の職員は、近所のお祭りに参加したり、まちの人向けにイベントを開いたりしています。このサイトを見ていただくことで、それぞれの職員をもっと身近に感じていただけるのでは」。

2027年で創立100年に
知多信用金庫は、昭和が始まったばかりの1927年、半田市成岩町で「成岩在郷軍人信用組合」としてスタートしました。25年後の1952年に「知多信用金庫」と改称、来年2027年には創立100年を迎えます。営業エリアは知多半島を中心に名古屋市を含む尾張南部、そして西三河の一部。36の店舗を構え、常勤だけでもおよそ500人が働いています。
一貫して「知多半島の相互扶助」を金融の面から支えてきた組織ながら、時代とともに業務の内容は少しずつ変わって来たようです。「私が入社したのは、バブルの名残がまだ残っていた頃。新入職員はどこかの営業店に配属されるのですが、仕事のほとんどは預金業務でした」と1991年入社の久保さん。
知多半島の産業という面からみると、平成に入るころまでは繊維業がさかん。やがてトヨタの下請けをする事業者の割合が増えました。土壌としては豊かな地域で、農業や漁業など、一次産業も元気ですが、どんな産業にも暮らしにも、時代の流れが影響します。「だんだんと預金よりも融資の割合が増えていきました。今は預金だけでなく投資も選択肢としてご用意したり、また地域経済への支援として創業相談を受けたりビジネスマッチングに取り組むなど、事業の幅は広がりましたね」

地域の人達を応援するクラウドファンディング事業
最近力を入れていることのひとつが、地域貢献課が中心となって行っている「ちたクラウドファンディング」。地元のケーブルテレビ局と印刷会社と3社で社団を立ち上げ、「まちで一番身近なクラウドファンディング」として主に知多半島に関連する幅広い分野のプロジェクトを支援しています。
「信用金庫として金銭面の支援というところでいくと、当然融資が思い浮かびますよね。でも融資はいつかは返していただかないとならないですし、融資できないものもあります。地域の活性化という視点で考えた時に、資金調達の選択肢は多い方が良いだろうと考え、このような取組みを始めました」
2019年にスタートし、これまで多くの人がチャレンジしてきました。一例を挙げると、歴史ある酒蔵の再出発や老舗楽器メーカーの本社工房移転などでは、どちらも1000万円近い資金が集まりました。ほかにも企業・個人を問わず、利益を生まない活動もOKという場だからこそのあたたかい応援が数多く生まれています。

お客さまの人生に寄り添い、覚えてもらえる幸せ
約500人の職員のうち、8割は各営業店で「預金」「渉外」「融資」などの業務をしています。残りの2割が本部業務で、より良い経営をしていくための企画や統括的役割を担います。今回お話を聞いた3人は、現在は全員が本部業務。でもやりがいの話になると、各営業店時代の思い出を教えてくれました。
澤田さん「創業のお手伝いをした時のことですね。私たちは普段、決算内容などの数字を見て、融資が適切かを判断するのですが、これから事業を興す人にはそれが無い。なので経歴や想い、資金計画などをお聞きし、アドバイスもさせていただきながら、一緒に事業を成功させられるよう、リアルな視点で考えていきます。その方は無事融資ができて事業を始め、順調に軌道にのせられていて、私がその営業店にいなくなった後も未だに話題にしてくださるそうで。そうやって覚えていてくださるのは嬉しいですね」

野崎さん「私は、営業店を4店舗勤務してから本部業務に変わってもう16年になります。それなのに、いろんな営業店の人から“野崎さんの話がよく出ますよ”と言われます。各営業店にいたのは2~3年ずつなのに嬉しいですね。今でも、それぞれの店舗での業務を楽しかったなと、思い出します。また、今は人事にいるので、人事に関する相談を受けることもありますよ」

久保さん「お客さまにいつも良い顔をしていることは出来ますが、言わなくてはいけないことはきちんと伝えてあげるのも、大切なことだと思っています。以前、多角経営のための融資の相談を受けた時に、まずは今ある事業を整え直すべきだと助言したんです。しばらく経ってから“あの時止めてもらって、本当に良かった”と言っていただけました」
人への興味が成長につながる
人事教育部で採用や教育を担当している野崎さんと澤田さんは、「はじめは0でも良い」と言います。「新卒だと、1ヶ月半ほどしっかり集合研修でマナーや金融の知識などを学んでから、店舗に配属します。そこから伸びるために大切なのは、お客さまの目線に立って対応しようとする気持ちかなと思います。いろんな人と、お金というある意味シビアなものの話をする仕事です。まずは相手に興味をもって、話を聞く気持ち。そこから、人と人としての付き合いが始まるはずです」

知多半島で生きる人や企業に寄り添って、地域とともにある存在。お金を介して応援できるものの幅広さや手段の豊富さ、そしてお客さまとの距離感の近さは、知多信用金庫だからこそ味わえる醍醐味かもしれません。「このまちで、地域のために働く」ということを強く意識する、お金のプロ集団。柔らかな物腰のなかに、責任感と力強さを感じました。
