事業者レポート

美浜町に根付いて、道路を、港を、競技場を、つくる仕事。1世紀分の経験と想いがそこにあった!

今回お邪魔する事業者さん
・伊藤組建設株式会社
・所在地:美浜町布土大池53-1
・創業:1933(昭和8)年
・従業員数:26名

ある建設会社のキャッチコピーで「地図に残る仕事」という言葉が使われていたのを、覚えていますか。美浜町で地域に根差し、地図に残る仕事を続けているのが「伊藤組建設株式会社」。創業から約1世紀となる同社の事業について、社長の伊藤学さんと、息子で取締役の伊藤駿介さんに伺いました。

「ここは俺がやった仕事やぞ」

「地図に残る仕事、というのは確かにその通りですよね。うちの社員でも、若い頃に携わった仕事のことを、60歳過ぎても“俺がやった仕事”とその場を通りがかる時に話すのを聞きますよ」と、駿介さんが話します。

伊藤組建設が手掛けるのは、地域の道路や港などの公共インフラ工事が多く、それは地図にも記され、何年も残る仕事。事業によっては、建造物に完成記念として社名の入った銘板が設置されることもあります。そんな点に魅力を感じて仕事に励んでいる従業員も多いことでしょう。

2025年現在、役職員総勢31人。うち20代が7人と、若い世代が元気な会社です。公共インフラを始めとした土木工事から、公共施設や会社社屋などの建築工事までを幅広く手掛ける総合建設業として、各種工事現場で「施工管理者」を担います。皆さんには「現場監督」という呼び方が馴染み深いでしょうか。

創業は1933年(昭和8年)。現社長の学さんの祖父が事業を興しました。「ほらこれ、当時祖父の時代に使っていた測量機器です。当時の河和港で港湾荷役*の仕事や、木造住宅の基礎工事を請け負ったりするところから始まったようです。やがて何人も集めて仕事を指示するようになったみたいですから、当時から“施工管理者”的立場でずっとやってきたわけですよね」

*港で船舶と陸との間で行われる貨物の積み下ろし、運搬、仕分け、積み付けなどの作業全般

土木だけじゃだめだ、建築もやろう!

学さんは4代目社長。31歳で社長に就任しました。3代目までは土木一本で事業をしてきましたが、学さんの代になり、建築工事にも参入します。

「まず単純に、間口を広げて全ての建設工事に携わりたい、という想いがありました。地域に密着して事業をしていくなら、いろんなことができた方が相談に乗りやすいだろうとも思いましたね。今はもう軌道に乗っていますが、始めた頃は土木ができるから建築もできるわけではないと痛感することも多かったですね」


 必要になる技術や資格、使う道具は同じことが多くても、施工管理者として考えるべきことが全然違う、と学さんは言います。「土木と建築は“似て非なるもの”。例えば土木は何もない所に自由に描く線、建築は縦と横。建築は、施主さんの想いを具現化し、利用する方に満足いただく。土木は不特定の利用者方が多く、そんなわけにいかない。仕切られた工事空間の中で完結する建築と、自然や生活環境の中で工事が行われる土木。それぞれに必要な感性も、当然違ってくるのが分かりますよね。ですから、業務範囲を広げることは簡単ではなかったですが、今では土木・建築も、それぞれのノウハウが蓄積され、それぞれの部門で適切な施工管理ができています」

美浜町あるある?必要な気遣いとは

扱える業務を土木と建築両方に広げながら、美浜町を中心とした「地域密着」は貫いてきた伊藤組建設。この地域で事業をしているからこその特徴を訊いてみると「第一次産業」という視点で答えが返ってきました。

「農業や漁業など第一次産業が活発な町なので、都市と比べて季節に仕事が影響されることが多い気がします。例えば、田植えや稲刈りの季節などは、その時期を外して工事をするなどで対応します。工事で常にご協力をいただいていますので、私たち建設業者も農業者の方の繁忙期には協力する。お互い様です。また、海苔養殖をされている漁業者さんにとっては水のきれいさが特に重要です。我々の工事現場から海・河川に汚れや有害物質を出さないよう常に注意しています。

こうしたことが大切だというのはやはり、ずっとここでやってきたから分かることです。都市には都市の、田舎には田舎の、必要な気遣いがあるんですよね。逆に僕らが名古屋のど真ん中で工事を行うとしても、やっぱり勝手が分からずに戸惑うでしょうね」

現場+後方支援で育てる現場監督

具体的に「施工管理者(現場監督)」がどんな仕事をするのかについても、細かく訊いてみました。「管理者」「監督」という名の通り、受け持つその場を、安全に、工程の遅れなく、予算も管理しながら、品質の確保を管理していく仕事、それが施工管理者です。

「高校や大学で土木や建築の勉強をしてきた人の進路はさまざま。職人として現場にいたい人もいるし、行政に進んで発注側になる人も。そんななかで現場監督の仕事を選ぶのは、マネジメントやコミュニケーションが好きで、多くの人の手を借りながら自分が全体指揮をとることにやりがいを感じる人ではないでしょうか」

実際の仕事は、先輩に付いて現場で少しずつ覚えてもらうそう。「見ているだけでは覚えづらいので、少しずつ仕事を渡して、できることを増やしていってもらいます。独り立ちする頃には、責任感を持って積極的に取り組む、というキリッとした顔に変わって来るんですよね。仕事に向き合う姿に成長を感じられる、それがいつも楽しみです」

また最近では、現場監督の仕事を後方支援する仕組みを作っているとのこと。「書類づくりは事務方が行うとか、煩雑になりがちな部分にITを導入して負担を減らすとか。ひとりですべてを背負わなくても良いように、仕組みづくりから改善しています」

地域の未来とともにある仕事

美浜町は今、人口が減少しつつある地域。地域密着の事業だからこそ、思うところがあるのではないでしょうか。学社長からは「減ったとしても人が住んでいる限り、そこにインフラは必要。応え続けなければならない」と、熱のこもった言葉。「そのために自分たちは、時代に合わせながら働きやすい環境づくりをしていかねば」と、駿介さんも続きます。

「常に地域の未来を考えながら、仕事をしています。インフラ作りに関わるということは、この地域の未来と僕らの会社の未来はリンクしているということ。地域にとって必要なものをつくり続けていけるよう、従業員の育成や働きやすさの提供に努めていきたいですね」

かつて「きつい・汚い・危険」の3Kと呼ばれたりもした建設業界。取材にお邪魔した社屋は美しく整然としていて、そんな気配は感じられませんでした。歴史とともに培ってきた仕事への厳しさは大切に保ちながらも、時代に合わせて柔軟に変化しようとする姿には、大きなモノづくりに取り組む企業ならではの度量の広さを感じました。

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チタジョブライター
田代涼子
ブランディングライター、中小企業診断士。人物取材と伝わる言葉づくりが大好きです。コココリン(半田市創造連携実践センター)でも働いています。岐阜県出身、半田市在住。旅と散歩とカフェが好き。ひとかけらの言葉もちゃんと拾って、その奥にある大切なものを伝えたいと思っています。
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