お仕事レポート

「管は友達」をモットーに。水と人をつなぎ、地域に貢献する管友の職人たち

今回お邪魔したのは
・有限会社管友
・所在地:愛知県知多郡美浜町大字野間字冨具崎192
・設立:1992年6月1日
・従業員数:7名(2026年5月時点)

蛇口から水が出る。トイレやお風呂が使える。そんな暮らしの「あたりまえ」は、住まいに配管を通す職人の手によって支えられています。
今回訪ねたのは、知多半島のとある新築施設の工事現場。美浜町野間に拠点を置き、知多半島を中心に管工事・水道施設工事を手がける「有限会社管友(かんとも)」の皆さんに、仕事内容や会社の雰囲気、仕事の魅力について伺いました。

蛇口をひねれば水が出る。その裏側にある仕事

はじめに話を聞いたのは、入社8年目の中堅・中野さんです。

「普段は、現場に出てみんなと一緒に作業を進めています。それから、どういうふうに配管をやっていくか現場監督と打ち合わせしたり。個人宅の蛇口やトイレなど器具の取り替えもしますよ」

この日見せてもらったのは、常滑に新設される区民館の配管工事。床下や地面の中に排水管を通し、浄化槽へとつなげていきます。

排水がきちんと流れるように勾配を確かめながら、現場に合った部材を組み合わせる。完成後には見えなくなる場所にも、職人の判断と技術が詰まっています。

▲敷地ごとの条件に合わせて、部材をパズルのように組み合わせていく

「この業界に入るまでは、蛇口をひねれば水が出るのは当たり前だと思っていて。でも、その裏側の世界を知ることができるのがこの仕事。水道は生活に欠かせないものなので、それを自分の手で設置していくことに、やりがいを感じますね」と中野さん。現場ごとに条件が違うため、同じ作業の繰り返しに見えても、毎回考えることがある。「毎日違うことをやるので発見が多いです」。それもこの仕事の面白さのようです。

▲地中の配管作業から、工事後の復旧まで。現場ごとに考えながら丁寧に施工
▲施工一例

中野さんに、1日の流れも聞いてみました。

「朝は7時半ぐらいに出社して、その日に行く現場の準備をします。移動して8時から作業し、夕方5時ぐらいには会社に帰ってきます。残業はごくまれで、月に1回か2回あるかないか。休日の漏水当番も特にありません。基本は週1休みですけど、週2日休みになる時もありますよ」

現場は知多半島を中心に、時には三河方面へ向かうことも。内容は、1時間ほどで終わるものから一日がかりになる工事までさまざまだそう。

▲グレーの排水管とブルーの水道管を図面に沿って施工していく

屋外の現場では夏の暑さなど厳しい場面もあり、空調服や水分補給、休憩を取り入れながら作業を進めています。中学時代は野球、高校時代はラグビーなど体育会系だった中野さん。その経験は今の体力仕事に生かされているのだそう。

「大変だった一日の最後は、すごいやり切った感がありますね。苦しいほど」

それでも楽しんで仕事をしたい。中野さんは、そう話します。

「労働イコール、きついとか辛いものというイメージをなくしていきたいんです、自分発信で。だから同僚ともプライベートで飲みに行ったりもしますよ。人間関係が良くなれば、仕事も楽しめる。社長と共に、もっと会社を大きくしていくのが今後の目標ですね」

分からないことを一つずつ。技術が自信に変わるまで

入社2年目の谷川さんは、中部国際空港での物流の仕事から、友人の紹介をきっかけに入社。現在は先輩を補助しながら現場で学んでいます。

「今は、『手元、見習い』という立場です。先輩から『あれを持ってきて』と指示された時に、材料や道具を取りに行きます。そこから徐々に材料や作業を覚えていく感じですね。この業界は材料が多いので、まだまだ勉強中です」

そんな谷川さんが目標にしているのは、先輩社員の方々。
「先輩たちは何でもできるので。特にベテランの山本さんは師匠みたいな感じです。仕事が丁寧かつスピーディなので、真似したいと思っています」

中野さんについては
「入社4年目ぐらいで、1人で現場に行くようになったと聞いていて。自分もそうなりたいです!」

谷川さんにとって、最近少しずつ増えてきたのは、やりがいを感じる機会。
「自分で配管をつなげた時は、達成感がありますね。『これをやったんだ』って」

この仕事を続ける先に、描いている暮らしもあります。
「給料は、同級生と比べても多い方だと思います。土曜も出ている分、休みは少ないけど、将来は一軒家を建てられるくらい稼げたらいいなと思っています」

休日には、彼女と東京や京都まで足を延ばすことも。「休みは、社長に言えば取らせてくれます。そこはこの会社のいいところですね。仕事で落ち込む時も、彼女の存在がモチベーションです。頑張って稼がないと遊べないので」

谷川さんの言葉からは、入社2年目の等身大の目標がうかがえました。「技術さえ持てば独立も可能ですし、40歳、50歳でも雇ってくれるところはある。そこはすごくいいなと思っています。この業界がないと、家も建てられないですからね」

「ありがとう」が返ってくる。経験を重ねても面白い仕事

3人目にお話を聞いた山本さんは、この会社では入社3年目ですが、前職から水道設備に携わり、住宅だけでなく、マンションや工場の配管も経験してきたベテランです。

「水のトラブルで困ったから来てくださいって言われた時にすぐに行って、『ありがとう、助かった』と言っていただくと、やっぱり嬉しいですね。新築の現場でも、最初から最後まで自分で作っていくので、できた時は感動がありますよ」

後輩への指導について聞くと、「言葉の使い方は、気を使いますね」と山本さん。厳しさも必要な現場だからこそ、伝え方にも心を配っているそうです。

「怖いって言われることもあるので……」。人を育てる難しさと後輩を思う姿勢が、その一言からも伝わります。これから仕事を選ぶ人に向けて、山本さんはこう話します。

「AIの時代になってきていますけど、やっぱり職人はAIじゃできないですから。手に職を持つのは、いいことだと思います」

▲排水がスムーズに流れるよう絶妙な勾配をつけて接続、まさに熟練の技

「今後は、いま以上に技術を吸収して自分を高めていきたい。周りに好かれるようにやっていきたいですね」

現場で技術を磨き、休日には、バイクや旅行、一眼カメラなど趣味を満喫しているという山本さん。その話からは、職人として仕事を長く続ける自然体の魅力が伝わってきました。

経験よりも、続けていく気持ちが大切

「向いている人は?」という質問に対して3人の話に共通していたのは、経験や器用さよりも、続けていく姿勢が大切だということでした。

「最初は分からないことばかりですよ。でもそこで諦めずやり続ければ、誰でもできるようになります。あとは体力に自信がある人!」(中野さん)
「どんな仕事でも一緒ですけど、やる気とガッツがある人がいいと思います。努力した分の結果はついてくる仕事ですから」(山本さん)
「正直なところ、厳しいことを言われたり、暑かったり、朝が早かったりするのは大変です。でも、そういうことにも向き合える人は続けていけると思います」(谷川さん)

配管を通すため、地面を掘り進めていく作業中。広い場所では重機を扱うことも

和気あいあい、でも仕事には本気。この職場の心地よさとは

職場の雰囲気について聞いてみました。

「本当に家族みたいな会社なんですよ。社長がそういう感じでみんなと付き合ってくれるので。みんな仲がいいですよ」(中野さん)
「先輩方がやさしいので、分からないことがあったら聞けばすぐに教えてくれます」(谷川さん)
「和気あいあいとやっていますね。でも、仕事では集中して、遊びは遊びで。何にせよ一生懸命です」(山本さん)

昨年は、社員のほか、同じ業者の方や社長の友人も集まるバーベキューを行ったそう。
仕事では真剣に、普段はほどよく近い距離感で。そんな雰囲気が、働きやすさにもつながっているようでした。

中野さんは、地元の消防団で知り合った社長から声をかけられ、勤めていた工場から転職を決めました。

「やっぱり地元に携われる仕事がしたくて。本当に生まれ育ったところに貢献できれば、と。今の会社は、消防団の活動やお祭りの時にも『頑張ってこい』と言って休みをくれる。消防団の大会では、愛知県で一位までいきました。今の会社じゃないと、多分できなかったと思います」

働きながら、地域での役割も大切にできる。中野さんの言葉からは、暮らしと仕事が緩やかにつながる「地元で働くこと」への実感が表れていました。

「管は友達」。地域とともに、これからも必要とされる仕事を

最後に、社長にもお話を聞きました。

「『管は友達』。それが会社名の由来なんです」

そう話す社長の千賀さんは、地域とのつながりを大切にしながら、二代目として会社を率いています。社長就任時には、社員の皆さんがサプライズでパーティーを開き、地元の親しい人たちも集まったそう。そんなエピソードからも、社長の人柄の良さが伝わってきます。美浜町の地域イベント「mihamaふれあいまつり」にも関わり、地元の数社で始めた取り組みは、今では町の事業者や関係者も集まる活動へと広がっているのだとか。

「最初は本当に小規模で始めて、3社ぐらいだったんですが、今はすごく増えて賑やかなイベントになってきています。地域が活性化するように、子どもの笑い声につながる場にしたいと思って始めました。やっぱり続けていくことに意味があると思いますね」

家が完成すれば、配管の多くは床下や壁の中に隠れて見えなくなります。それでも、そこを流れる水は、毎日の暮らしを支え続けます。

「管は友達」という言葉には、見えない場所まで丁寧に仕事をする職人の誇りと、人とのつながりを大切に、地域の暮らしに寄り添う温かさが込められているように感じました。

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チタジョブライター
竹内葉子
エディター・ライター。半田市で生まれ育ち、関東で働いたのちUターン。名古屋市内での勤務を経て個人事業主に。発酵醸造や野菜、フードカルチャー好きで、知多半島での暮らしや働き方、人とのつながり…その魅力を体感中です。
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