チタジョブ編集室企画「数字で見る知多半島」シリーズ。
今回のテーマは「時給と最低賃金の推移」について深堀してみました。
最低賃金も時給も物価上昇とともに年々上がり続けていますが、特にここ10年は大きく変動しました。
今の最低賃金はいくらなんだろう。
知多半島の平均時給ってどのくらいなの?
そんな疑問にお応えすべく、過去10年間(2015年〜2026年現在)の愛知県の最低賃金の推移と知多半島の平均時給を、その時々に日本を揺るがした時事ニュースとともに振り返ってみました。激動の10年間に一体何があったのか、あらためてみるとおもしろいですよ。
知多半島で時給高騰の10年、タイムラインを追う
【最低賃金の推移】820円(2015年) → 926円(2019年)

アベノミクスの恩恵で景気の拡大が続き、「一億総活躍社会」という言葉が飛び交ったこの5年間。実はこれが、その後の「時給爆上がり時代」へと繋がるカウントダウンの始まりでした。
2015年:最低賃金 820円(知多半島の平均時給:約930円~)
景気回復感が広がる中、政府が「最低賃金を毎年3%目安に引き上げて、全国平均1,000円を目指す」という方針を初めて明言しました。ここから毎年、時給の底上げが行われていきます。
2017年:最低賃金 871円(知多半島の平均時給:約980円~)
日本全体で「有効求人倍率」がバブル期を超える高水準を記録。知多半島でも製造業を中心に激しい人手不足に陥っていました。
2019年:最低賃金 926円(知多半島平均:約1030円~)
消費税が10%に増税。「働き方改革関連法」が順次施行され、企業には有給休暇の取得義務化などが課せられました。人件費だけでなく、「労務管理のコスト」にも向き合わざるをえないという大きな過渡期を迎えました。
当時といえば… まだ「時給900円台前半」で募集をしたら採用ができた時代。「時給1,000円」を出せば、地域のパート・アルバイト募集では「かなりの高待遇」として人が殺到していました。
【最低賃金の推移】927円(2020年) → 986円(2022年)

それまでの右肩上がりの空気が一変、世界中が未知のウイルス(コロナ)に翻弄される3年間へ。苦境を経て経済の完全停止状態から復活したはよいものの、今度は人員確保の戦国時代が幕開けしました。
2020年:最低賃金 927円(知多半島の平均時給:約1030円~)
新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により、緊急事態宣言や一斉休校が発令されました。これにより飲食・観光業を中心に経済が一時凍結状態に。景気の先行きが見えないことから、この年の最低賃金の引き上げは全国的に「ほぼ現状維持(愛知県は1円の引き上げ)」にとどまりました。
2021年:最低賃金 955円(知多半島の平均時給:約1,080円~)
ワクチン接種の普及などでコロナ禍の出口が見え始め、経済活動が徐々に再開されていきます。すると控えられていた採用活動が一斉に始まり、「すさまじい人手不足」の状態に。時給の引き上げ幅も一気に加速します。
2022年:最低賃金 986円(知多半島の平均時給:約1,120円~)
ロシア・ウクライナ情勢の緊迫化をきっかけに、世界的な「原材料高・資源高」が問題に。円安も急速に進んだことで、あらゆる生活必需品や電気代が値上がりしました。人々に「物価上昇に負けない賃上げがないと生活が成り立たない」という危機感が広がりはじめました。
当時といえば… コロナ禍で採用をストップする企業が相次ぎましたが、制限解除と同時に爆発。特に知多半島において決定打となったのが、中部国際空港(セントレア)の国際航空便の復活です。常滑市周辺を筆頭に、「とにかく時給を上げて人を集めないといけない人員争奪レース」の幕が切って落とされました。
【最低賃金の推移】1,027円(2023年) → 1,140円(2026年現在)

ついに「最低賃金1,000円」の壁を突破した2023年。深刻な人手不足と歴史的な物価高が重なり、いまや求職者が主導権を握る「完全なる売り手市場」が定着しつつあります。
2023年:最低賃金 1,027円(知多半島の平均時給:約1,160円~)
愛知県の歴史上で初めて「最低賃金1,000円」の大台を突破した記念の年です。加速する物価高(インフレ)に対抗するための、過去最大となる「41円」の大幅引き上げでした。
2024年:最低賃金 1,077円(知多半島の平均時給:1,210円~)
政府が掲げる「2020年代後半までに全国平均で最低賃金1,500円を目指す」という方針のもと、前年を上回る「50円」の大幅引き上げ。企業側にはいろいろな覚悟が迫られ始めます。
2025年〜(現在):最低賃金 1,140円(知多半島の平均時給:約1,270円~)
引き上げの手は緩まず、ついに愛知県の最低賃金は1,140円に到達しました。深刻な少子高齢化によって「働く世代(生産年齢人口)」が減少し、「時給を上げなければ応募すら来ない」という、厳しい現実が当たり前になってきました。
現在の状況は… 最低賃金が1,140円(実際の募集時給の相場は1,200円〜1,300円台)へ突入しました。これによりあちこちの職場で新たな課題が浮き彫りになってきました。
働き手にとっても深刻?「逆転現象」とこれからの選択

いま現場で抱えている深刻な課題、それが、「時給フルタイムで働くフリーターやパートの月給が、正社員の月給を超えてしまう」という逆転現象です。
例えば時給1,250円で、1日8時間、週5日働いた場合を計算してみます。
1,250円×8時間×22日=220,000円
つまり…知多半島の新卒(大卒)の初任給相場や、中小企業の若手正社員の基本給(およそ20万〜22万円)と並べる、あるいは普通に追い抜いてしまうのです。
そうなると単純に「責任が重くて残業もある正社員より、時間キッチリでしっかり稼げるフルタイムのパートや派遣でいいのでは?」と思ってしまうかもしれません。

しかし、正社員には“高時給に負けない魅力”があります。
・トータル年収(賞与・退職金)の底力
正社員には「年2回のボーナス」「退職金」のほか、家族手当や福利厚生などがあります。たとえ毎月の額面が同じでも、年収ベースで計算するとほとんどの場合100万以上の差がつくといわれています。
・大型連休や不測の事態に左右されない「月給制」の安心感
GWやお盆、年末年始など長期休みなど勤務日数が減っても、基本給は毎月必ず振り込まれる安心感は正社員だけの特権です。コロナ禍で会社や業務がストップした時も、この保障に救われた人が多くいました。
・スキルとキャリアの階段
会社負担で資格を取得したり、経験を積む機会に恵まれています。このようにどこでも通用するプロになれる環境を会社が用意し、成長させてもらえるのが正社員の価値ともいえます。

逆に、「子供が小さいから残業はできない」「趣味や別の夢があって時間をコントロールしたい」「近々別のエリアに移住予定がある」など短期の就業希望やライフスタイル重視であれば、フルタイムのほうが向いているかもしれません。
5年先、10年先を見据えた働き方を探そう
知多半島の企業側もこの逆転現象を前にただ手をこまねいているわけではなく、“待遇ややりがい”の両面で魅力的になれるよう、求人面をブラッシュアップしています。5年先、10年先の将来を見据え、どう働くのがベストか、改めて考えてみると良いかもしれません。
ぜひチタジョブで笑顔につながる最高の職場を見つけてみてくださいね。
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