お仕事レポート

『電気がある暮らし』をメンテナンスで支える職人たち

今回お邪魔する事業者さん
・有限会社カトメン
・所在地:愛知県知多市にしの台1−2403
・創業:1973年11月
・従業員:11名

愛知県知多市に本社を構える有限会社カトメン。同社は『大型タービンの点検』を強みに、発電設備・プラント内のメンテナンスを手掛けています。従業員11名ながらも国内有数のエネルギー関連企業から厚い信頼を得ており、その背景には50年以上の実績と技術力、そして協力会社と築いてきた信頼関係と現場力があります。

今回は、代表取締役・加藤勝久さんと採用担当・加藤雅人さんに、これまでのあゆみや仕事の流れを伺いました。後半では、ベテラン社員3名の声を交えながら、現場で働く人のリアルを紹介します。

左から加藤雅人さん(次期3代目)、加藤勝久さん(2代目)。親子で会社の技術を受け継いでいます

技術が会社を変えた。兼業農家から発電設備のプロ集団へ

数年ごとの分解・点検が欠かせない『タービン』。発電設備の「心臓部」ともいわれ、蒸気やガスなどの力で高速回転し、電気を生みだす巨大な機械です。点検ではミリ以下の精度で調整を行う場面もあり、まさに職人技の世界。同社がタービン点検を本格的に担うようになるまでには、長い経験と挑戦の積み重ねがありました。

加藤勝「当時うちは兼業農家で、父が声をかけられて地元発電所内の日常補修業務や、突発対応を担ったことが始まりでした。私がゼネコンから戻った数年後には、電力会社で働いていた弟(現・専務)も入社し、社内で機械技術を磨く動きが一気に加速しましたよ」

元請会社の技術力に支えられながら若手を育て、ポンプ、回転機、タービンへと自社の技術領域を拡大していったといいます。

加藤勝「ある時、元請会社から『回転機器の工事部隊を作るから参加してみないか』と声をかけてもらって。タービン定期点検を学ばせてもらい周辺機器の補修を担う立場から、正式に点検を任されるようになりました。」

現在では、複数の現場に「現場事務所」を構え、社員とともに5社の協力会社・約20名が常駐。規模に応じて人数を増やし、さまざまな機械の点検に対応しています。

1991年 勝久さんが社長に就任するタイミングで社名を変更

加藤勝「創業時の社名を変えるとき、『加藤メンテナンス工業』では長くて覚えてもらえない。思い切って今の社名の『カトメン』にしたら、今度は『何の会社?』と聞かれましたよ(笑)」

2024年には本社近くに作業場を新設し、分解・組立において安全で作業性を良くする『治具』を設計・製作できる環境も整備。社長考案の治具も現場で活躍しているとか。2025年度にはエネルギー関連企業2拠点で安全表彰を受賞するなど、安全と品質面でも実績を積み上げています。

一人前になるまでの道のり

そんな同社では、実践を重視した研修制度を整えています。

加藤雅「工具や機械は実際に見て触れて覚える、という考えから安全教育などの座学は最低限です。すぐに現場に入り、ベテラン社員の指導のもと実践に慣れていきます」

1年目は先輩の助勢作業と並行して、外部機関で特別教育や技能講習も受講します。

加藤雅「私も入社当初は、専門用語が飛び交う現場で付いていくのに必死でしたね。9ヶ月目でようやく半分くらい聞き取れるようになったと思います」

雅人さんはメーカー勤務後に入社し、最初の3~4ヶ月で一気に資格を取得したそう

一人前の目安は、1つの装置の作業指揮者として定期点検を実施できること。3~5年ほど類似の点検を経験し、「職長・安全衛生管理者教育」を修了することで、ようやく現場を任されるようになります。

『ミリ以下』の世界で働く技術者の日常

点検工事期間は内容によって異なりますが、タービン点検の場合、およそ数週間から2ヶ月。分解・修理・検査・組み立て・試運転の一連の流れを、工程に沿って確実に行います。作業の一例を伺いました。

加藤雅「60Hz地域にあるタービンの羽根の部分は、蒸気や燃焼ガスを受けて1分間に約3600回転します。運転中は常に高温の蒸気や燃焼ガスに曝されるので、定期的に手入れや部品交換を行います。部品間に適切な隙間を保つ必要がある場合は、1個1個『基準値内にあるね、OKだね』と確認しながら組立を進めていくんです」

指揮者、機械操作者、主作業者、補助者など、複数人でひとつの作業にあたることも。長丁場だからこそ集中力とチームワークが欠かせません。1日の業務の中で、整理整頓にしっかり時間をかける点も印象的です。

加藤雅「退勤の30分ほど前から工具のチェックに入ります。小さなものでも機械の中に入り込めば、運転不備につながる可能性があります。見つからない時はゴミ箱を全部ひっくり返して、みんなで何時間も探すこともありますよ」

見えないところで当たり前を守る。その積み重ねが、発電設備の安全稼働を支えています。

だからこそ、1日の業務の中で、整理整頓にしっかり時間をかける点も印象的です。

社員が語る「働くリアル」

ここからは、現場を支える社員3名にもお話を伺いました。それぞれ専門分野で、協力会社の方々を取りまとめています。

左から濱本さん(36歳・入社18年目)、篠原さん(43歳・入社23年目)。森下さん(39歳、入社20年目)はリモートで参加。


―主な業務を教えてください。

篠原「QC(品質管理)やタービンの指揮者として、分解・組み立て時の計測を担当しています。主な業務は、点検結果をお客様に提出し、修理依頼を受けて対応します」

濱本「私は主に、タービンを回すエネルギーを送り込む『燃焼器』周りを担当しています。現場では協力会社さんのリーダーとして指揮をとります」

森下「タービン本体の指揮を担当しています。発電設備以外の現場に出ることもあります」

―大変なことや、やりがいは?

篠原「工程を守るためにどんなに遅くなっても作業を終わらせないといけない点は大変です。やりがいは、自分の計測結果をもとに調整し、想定通りの結果を得られた時ですね」

濱本「大変なのは、外国の作業員の方と言葉の壁を感じる時かな。私も細かい作業が上手くいった時は、やりがいを感じますね」

森下「点検範囲が広いので、指揮者として作業員の方に仕事をお願いしながら進めるのは大変です。でも、チームが楽しく仕事をしてくれたら自信につながります」

―入社後のギャップや、驚いた点は?

篠原「覚えることが想像以上に膨大。でも覚えないと仕事にならないですね」

濱本「部品が高価で、取扱いにかなり気を遣う点です」

森下「些細なミスが笑って済まない世界だな、と。工具の多さと巨大さにも最初は衝撃を受けましたよ(笑)」

―入社してよかったことは?

篠原「待遇面では、3人の子供を不自由なく育てられることと、休みが土日に限らないので子供の行事にも割と参加できる点ですね」

森下「職人の世界で、厳しくも優しい指導を受け、人として成長させてもらった点です。厳しい言葉は命の危険や怪我の恐れもあるからで、いい人たちに恵まれたと思います」

濱本「特殊な仕事なので、スキルを身につけられたことは大きいですね。社内の雰囲気もフレンドリーで、居心地がいいですよ」

森下「休憩中は結構笑いが絶えないというか(笑)もちろんピリッと緊張するところはしますけど、張り詰めすぎず、冗談も言い合えるような環境です」

黄色の作業服は『異物混入対策ユニフォーム』で、専門の教育を受けた証でもあるそう

―どんな方と一緒に働きたいですか? 

篠原「能力は個人差があるので、仕事に真面目に向き合ってくれる人ですね」

濱本「向上心がある人かな。何もできなくても、『それ何の作業ですか?』って聞いてくれたら教えがいがあります」

森下「同じくです。聞けば先輩たちは教えてくれるし、時間があれば、見守りながら実践させてくれますよ」

企業は人なり―応募者へのメッセージ―

加藤勝「昔から『きつい・汚い・危険』で3K、なんて言葉がありましたが、当社では『貴重・高収入・休暇もしっかり』という『新3K』を掲げています。タービン分解点検は誰でもできる仕事ではありません。必要な資格は会社が全面バックアップします。技術を身につければ貴重な存在になり、安定した収入も得られます。オフシーズンには長期休暇の相談も可能です。興味のある方は、ぜひ見学に来てほしいですね。仕事内容や見学に関する詳細は、当社ホームページから確認いただけます。(リンクは記事下部に掲載しています)

「実は、ロゴのKには『人』という字が隠れているんです」と勝久さん

技術も設備も大事ですが、一番の財産は『人』。AIやIT化が進んでも、現場の管理や設備メンテナンスには、『人』の手が欠かせません。社会を支える職人集団として、共に歩む仲間との出会いを楽しみにしています」

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チタジョブライター
後藤春香
愛知県名古屋市出身、常滑市在住のライター。独学でWebライターとして活動を始め、現在は書籍編集アシスタントや動画編集にも少しずつ携わっています。人やモノ、地域で生まれる仕事やチャレンジの魅力を、丁寧にお伝えできるよう日々心がけています。プライベートでは、愛犬と過ごす時間が何よりの癒しです。
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