お仕事レポート

タグボートの航海士・係留スタッフは、港を動かすキープレーヤー!

今回お邪魔する事業者さん
・衣浦ポートサービス株式会社
・所在地:愛知県半田市11-1-5 第二港運ビル
・創業:1966(昭和41)年
・従業員数:31名

インフラの縁の下の力持ち

あちこちで海が眺められる知多半島。ふと気づくと、大型船をよく見かけませんか?  それもそのはず、日本の輸出入の99.5%は海運によるもの。

とくに愛知は、自動車などモノづくりが盛んな地域だから、大型船の出入りを支える仕事は欠かせない存在なんです。

その海上物流を支えるのが、衣浦ポートサービス株式会社

大型船がスムーズに入港・出港できるよう、主に2つのお仕事を担っています。

1つ目は、タグボートで大型船をひっぱる「曳船(えいせん)業」。

2つ目は、岸壁に大型船をロープで固定する「船舶係留業」。

今回は、実際に現場で働く先輩たち5人にこの仕事の魅力ややりがいを聞いてみました!

タグボートは馬力が違う!

最初にインタビューしたのは、タグボートの操船を覚え中という、航海士の新人2名。

こちらの航海士・中村さんは広島出身の24歳。商船高等専門学校を卒業後、この会社への入社を決め、愛知へ移住。在学中の航海訓練でタグボートのかっこよさに惹かれたのがきっかけだそうです。

こちらの航海士・吉戸さんは、愛知県・南知多町出身の23歳。静岡にある国立清水海上技術短期大学校を卒業後、「地元で船に関係する仕事がしたい」とUターンし、この会社へ入社。

ふたりにとって、タグボートの魅力や、新人としての大変さ、やりがいとは?

中村さん(以下敬称略)「タグボートって、小さい割に機動性とエンジンの馬力がすごいんです。初めてその動きを見た時、魅了されました」

実際に乗ってみてどうでしたか?

中村「舵を持たせてもらったら、想像の倍ぐらい難しい! ふつうの船と違って、プロペラが回転するから、まったく別の動きをするんです。だから、とりあえず経験をしまくるしかない!と、もらった参考書を見たり、先輩に付いて教えてもらったり。見て学んだり、やらせてもらって、その都度、質問したりしています」

タグボートは先端で大型船を押す役割も担うためパワフル

入社してから一人前になるまで、通常は10年くらいかかるけれど、成長次第では、早めることもできるのだそう。

他にはどんな仕事を経てステップアップしていくのか聞いてみました。

吉戸「入社直後は右も左もわからないので、綱取り業務(船舶係留業)からスタートします。そのあとタグボートの作業内容を覚えていくんです。僕は機関士の免許も持っているので、いずれはエンジンのことも理解しつつ、デッキで舵を握れるようになりたいですね」

機械が好きな人は、機関士を経て船長になるルートもあるそうです。

ちなみに待機時間が長いお仕事だと聞きました。どう過ごしているのでしょうか?

吉戸「僕は掃除が好きなので、掃除をしてますね。あとは貸してもらった参考書を読んだり、オイル交換などの整備作業をしたり……」

この仕事のポイントや、向いている人、おすすめな点は?

吉戸「チームワークが重要なので、向いているのは人間関係を大事にする人。向かないのは、ひとつのことに集中しすぎて周りが見えなくなる人かな。刻々と変わる状況や自然を相手にするので」

中村「愛知の船関係のお仕事は、新人に優しい労働環境で先進的だと聞いて、愛知を選びました。それに船の仕事は、長期の船内泊を伴うものが多いけれど、タグボートの仕事は毎日家に帰れるのが幸せです。残業は少なく、有給が取りやすく、転勤もないので、日常や趣味を充実させたい人にも向いてると思います」

目指すは憧れの船長!

いまお話を伺った2人のように航海士として入社したら、練習や実践を繰り返し、最終的にはタグボートの船長として一人前になることができます。

そこで次は、副船長と船長にインタビューさせていただきました。

左が副船長の壁谷さん。蒲郡市出身の32歳。右が船長の大山さん。岡崎市出身の41歳です。

ベテランになると、仕事はどんな風に変わっていくのでしょうか?

壁谷「徐々に船の舵を持たせてもらうようになっていくと、自分が今までいたポジションに違う乗組員がいて、その人たちの命を預かる意識が湧いてきます。下手なことはできないな、と仕事の重みを肌で感じるようになりました」

大山「こうして責任感が変わってきます。タグボートには5人の乗組員と乗船するので、彼らの命がかかっている。事故がないよう安全を最重視するようになりました」

他の4人はどんなことをしているんですか?

壁谷「トランシーバーで大型船とやりとりする人、ウインチ(巻き上げ機)を操作する人、表に出てタグライン(大型船とつなぐロープ)を取る人がいます」

仕事上、大変なのはやっぱり悪天候ですか?

大山「悪天候はそんなに大変じゃなくて、特殊な大型船に対応するときに苦労しますね」

壁谷「たとえば、橋などを掛ける工事用に、でっかいクレーンみたいなものが付いてる船も来るんです。通常の船とは違って、想像つかない動きをするんで、その入港を補助する時は緊張しました」

大山「ふつうの大型船でも、長さや積荷などの重さが違うと、動き方が変わるんです。それに対処するノウハウが重要ですね」

壁谷「僕はまだそこが全然慣れてなくて…。船長目指して経験値を上げていきたいです」

船長が担うものは、他にもありますか?

大山「後輩たちに教えることですね。自分らの時代は、見て覚えろって言われてきたけれど、今は時代に合わせた教え方を工夫しています」

壁谷「1から10まで、丁寧に伝えるようにしてますよね。僕も最初の2年は綱取り、3年目からはタグボートのトランシーバー業務をしながら操船の練習など、いろんなことをさせてもらい、成長させてもらって今の副船長に至ります」

ところでおふたりは、待機時間をどう過ごしたり、捉えたりしていますか?

壁谷「忙しい時は朝5時から夕方まで稼働するけれど、待機時間が長い日や、1日中なにもない日は、船のサビを取ってペンキを塗り直すなどの整備をしたり、勉強したり……」

大山「待機時間が長いので、何かしなきゃと思ってしまう真面目すぎる人や、マグロのように止まっていられない人は、この仕事に向いてないかもしれないですね。適度に息抜きしつつ、いざ稼働となったらサッと動けて集中できる人にはおすすめです」

深夜の稼働はめったにないそうなので、ベテランになっても安定した日々や、時間に追われない働き方ができるんですね。

綱取りは、実は躍動感ある業務

最後に、綱取り業務を行う係留スタッフにもインタビューさせていただきました。

天木さんは、美浜町出身の34歳。セントレア空港で勤務後、船舶代理店に転職。その後、綱取りの仕事に興味をもって、この会社へ入ったそうです。

どんなところに惹かれたのでしょうか?

天木「セントレアでは飛行機を地上でサポートするグランドハンドリングという仕事をしていて、素早い対応が求められる仕事でした。それよりも時間のゆとりと、外で働く開放感を求めて、この仕事を選んだんです」

お仕事の内容を教えてください。

天木「大型船が入港したら、岸壁へ向かいます。大型船から何本も出るロープを受け取り、ピット(金属製の低い柱)に固定するのが基本作業です。体力勝負だと思われるかもしれませんが、複数人で行うので、そんなに力仕事ではないですよ」

面白さはどんなところですか?

天木「綱取りボートと呼ばれる船の操船です。その船に乗って、大型船のロープを受け取りに行くことがあるんです。大型船によって速度が違ったり、天気によって風や波の状況、うねりが変わるので、実はすごく迫力と躍動感が感じられる仕事で。台風が来ると南の風が強くなって危険を伴う場合もあるんですが、安全に終えられたときはすごく達成感を感じます」

待機時間が長く自由度が高い環境だそうですが、今後どのように過ごしたり、成長していきたいですか?

天木「好きなことをするのもいいけれど、だらけないように自分で考えて動くことが大事だと思っています。たとえば、先輩たちは船のエンジントラブルが発生したときも対応力が高い。だから自分も、整備に力を入れたり、先輩たちに聞いて覚えて、知識と経験を溜めていくのが目標です。今はマニュアルがないけれど、それを自ら作ろうとしているスタッフもいて、刺激をもらっています」

この仕事や会社の魅力、他にも教えてください。

天木「待機時間が多いから雑談も多く、アットホームなところかな。プライベートでも会社のみんなでスノボーやウェイクボードで遊んだり、5年間マラソン大会に出たりしたりして、楽しんでます」

休憩時間にランニングすることもあるという天木さん。

マイペースに働きたい人や、体を動かしたり、レジャーが好きな人、多趣味な人は、ぜひ衣浦ポートサービスへ!

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チタジョブライター
竹内葉子
エディター・ライター。半田市で生まれ育ち、関東で働いたのちUターン。名古屋市内での勤務を経て個人事業主に。発酵醸造や野菜、フードカルチャー好きで、知多半島での暮らしや働き方、人とのつながり…その魅力を体感中です。
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