今回お邪魔したのは…
・株式会社中村土木建設
・東海市大田町松崎331-1
・創業 1970年
・従業員数 70人
・ナカミライズホールディングス
・設立 2019年
・従業員数 366人
公共施設や道路、橋など大きな建造物の現場をまとめ、指示を出す「土木業界の現場監督」。やりがいはあるけれども、長らく「3K(キツイ、汚い、危険)」と言われてきた仕事でもあります。しかし今は、働き方改革やITの発達で、仕事の仕方も随分変わってきた様子。積極的に働き方改革を進める中村土木建設(東海市/ナカミライズグループ)にお邪魔し、現場監督を務める林幸広さんと、監督見習いの竹内勇気さんに話を聞いてきました。

「現場監督」ってどんな仕事?
現場監督の仕事の変化を伝える前にまず、どんな仕事内容なのかを整理しましょう。公共道路や道路、橋など大きな建造物をつくっていく時の一番のキーマン。それが現場監督と言ってよいかもしれません。多くの事業は工期が決まっています。完成時期を厳守するためスケジュールを組み、その通りに進められるよう現場を指揮。予定外のことが起きた時は柔軟に対応をし、現場での臨機応変な変更も責任を持って決断する役割。責任の大きな仕事です。
中村土木建設で勤続21年となる林さんは、これまで多くの現場を取り仕切ってきました。「この地域で今、皆さんに活用されている空港へのアクセス道路やダム工事など、携わってきましたよ。最近では、太田川駅がきれいになった時、駅西側の広場づくりで現場監督を務めました」


現場監督を支える「サポート課」が誕生
この業界が長い林さんに訊くと、昔は長時間労働が当たり前だったと言います。「締めが決まっている仕事で、特に公共事業などは年度末に向かって忙しくなっていきます。現場監督の仕事は、許可申請や報告書などの書類づくりも多いので、朝から日が沈むまでは現場で働いて、帰ってきたら書類を作って、夜遅くに帰るという毎日でしたね。締切間近になると、どうしても帰りが遅くなってしまって……」

業界のそんな「当たり前」に甘んじず、中村土木建設は早い段階で改革に乗り出します。「サポート課」を新設し、そこで書類作成などを担うようになったのです。ここからはナカミライズホールディングスで総務や人事を担う石原歩佳さんにも話に加わってもらいましょう。
「今でこそ働き方改革という言葉が浸透していますが、弊社ではそれより前に取り組み始めました。書類を作る時に、現場でドローンを飛ばして撮影するなどの作業もありますが、この辺りもサポート課がすることで、現場監督には本来の仕事に集中してもらえます。土木業界は男性が多いイメージですが、サポート課では、女性も多く活躍しています。こうした業務分担の仕方は、同業の企業さんにも参考にしたいとよく言っていただくんですよ」

ITの進化で仕事量が軽減
また、ITが進化することによっても、仕事の効率が良くなってきました。「例えば、ショベルカーの先端にセンサーが付くようになって、掘るための位置取りや角度が正確にできるようになりましたし、それを測るために必要だった人員も要らなくなりました」と竹内さん。横で林さんも「大きなブルドーザーが、無人でも動くような時代ですよ」と続きます。「これまでやって来た仕事の記録も、上手に保存していけるようになったし、“管理”はITの得意分野。ずいぶん助かっています」


若手が生き生き!その理由は?
サポート課という頼もしい存在、そしてITの進化にも助けられながら、中村土木建設では若いうちから現場監督を育てることに力を入れているそうです。「中途採用もしていますが、新卒の採用も同規模の企業の中では多い方だと思います。近年では、会社のブランディング強化と会社説明会の内容の充実もあって会社見学への参加人数が急増しています。毎年10人前後、新卒採用をしています」と石原さん。「安心できる環境で、伸び伸びと一人前に育っていって欲しいなという想いがあって、そのためにいろんな工夫をしています」

例えば、入社前から新卒者同士で仲良くなれる研修の存在、ひとり立ちまでは先輩に付いて学べる環境、ノー残業デーが設置されていたり、相談が気軽にできるようコミュニケーションのためのランチ会や飲み会があったり。「ある程度の人数を採用するのもその一環。同期が多い方が近い価値観で話がしやすいし、一緒に頑張っていこうと思えますよね」。土木業界は人材の定着に悩むことも多く、同社も以前は出入りが激しい時期があったそう。けれどこうした改革が進み、最近は順調に社歴を重ねる人がほとんどだそうです。「もうすぐ、新築ピカピカの社員寮も出来ますよ」と石原さん。ますます働きやすくなりそうです。



また、若手の声を聞き入れて、より良い会社づくりを進める柔軟さも社風のようです。「以前は8時始業の前に朝礼をしていたのですが、若手から朝礼は勤務時間の一部では?という声が上がり、社長がすぐに採用しました。今は8時から朝礼をし、その後各自業務に入ることになっています。若い人たちが生き生き働く会社、という姿は私たちが目指すところですし、彼らの気づきにきちんと耳を傾ける姿勢を大切にしています」。竹内さんも「分からないことは頼もしい先輩方に訊けますし、同年代も多いのでプライベートの話もしやすい。ちょうどいいバランスだと思います」と話していました。
「ありがとう」を励みに、人間らしく
「20年以上働いてきて、この仕事の魅力ってやっぱり、ありがとうって言われることが多いことかなと思いますね」と、林さんは話します。「より便利に、より豊かに、暮らしを導いていける仕事。そこにやりがいを感じます」。工事中も、近隣の人から声をかけられ、喜ぶ声を聞かせてもらうこともよくあるそうです。一方で、工事期間中は不便をかけることも多く、周りの理解が無いと進まない仕事でもあります。
まだ多くの現場を経験していない竹内さんも、近隣住民とのコミュニケーションの大切さを感じている様子。「工事をしていると、ふらっと見に来られる方も多くて、しっかり挨拶するように心がけています。ここをこうした方が良いんじゃない?と言ってくださる方もいて、住民の方と一緒により良くしていくという面もある仕事だなと思います」

「そう、この仕事にはコミュニケーションが必須!」と林さん。「ITがどれだけ発達しても、仕事をするのは人間。近隣の人に対してはもちろん、協力会社の人達にも快く仕事をしてもらえるよう、現場監督はコミュ力大事。分かりやすく相手に伝えるには、どんな風に話したらいいか、そんなことをいつも考えています」

重機がどれだけ重いものを動かそうとも、ITがどれだけ的確に効率化を進めようとも、結局その場をまとめるのは「現場監督」という人間。働き方改革に支えられながらも、若いうちから人間力を高めていける環境づくりに、企業としての強さを見た気がしました。

