今回お邪魔したのは…
・尾張製粉株式会社
・半田市成岩本町1-70
・創業 1885年
・従業員数 65人
「尾張製粉」と聞くと、夏のひやむぎや家庭用ホットケーキミックスなど、商品を買ったことのある人も多いのでは? 明治時代に創業し、少しずつ事業を拡大してきた地元製粉企業・尾張製粉株式会社にお邪魔し、製造と営業事務の仕事について訊いてきました。
【製造部】飼料づくりの「圧ぺん(あっぺん)」って知ってる?
まずお邪魔したのは、尾張製粉の中でも一番大きな部である製造部に16年務め、中堅として活躍している山本幹大さん。具体的にどんな仕事をしているのでしょうか。「尾張製粉は、業務用や家庭用の小麦粉というイメージが強いですよね。
実は小麦粉はグループ会社で作っていまして、半田市の工場では、穀物を使った家畜用の飼料製造や焙煎を行っています。
また、大きな単位で生産している小麦粉を家庭用に小サイズに詰め直すことも。僕が主に担当しているのは、飼料製造です」

山本さんは、常滑市出身。実家が農業をしていたため食品関連の仕事の進みたいと、尾張製粉を選びました。「フォークリフトを動かすのが好きなのも、地味なココ推しポイントです(笑)」。
飼料製造では、とうもろこしや大麦、マイロなどの穀物原料を蒸気で加熱し、ロール機でフレーク状にする「圧ぺん加工」を行っています。作る単位が大きいので、実際の作業は全て機械の仕事ですが、決まり通りにボタンを押していれば全てがうまく行くわけではありません。
「圧ぺんっていう言葉も、入社して初めて知ったんですが、奥が深いんですよね。納品先によって、厚さや硬さの希望はさまざま。それをちょうどよく叶えられるように機械を調整するのは、なかなか大変です」


製粉会社ならではの仕事の大変さを訊いてみると、工業製品を作るのとは違う苦労が見えてきました。「原料によって、含んでいる水分が違うんですよね。季節やその年の気候によってだいぶ変わってきます。冬は乾燥しているので、わりと安定しているんですが、夏は調整が難しいです」

人柄の良い先輩、楽しい「部活動」も
高卒で入社した山本さん。仕事はペアになることが多い先輩から学んだと言います。
「製造現場は交替勤務なので、一定の人と同じ勤務になることが多いんですよね。僕も同じシフトになる先輩とペアになり、横でいろんなことを学ばせてもらいました。先輩たちが皆いい人なのが、僕がここで働き続けられるモチベーションの1つですね」
部を超えたコミュニケーションのサポートも、会社が積極的にしてくれているそうで…。
「僕、釣り部なんです」と、楽しそうな山本さん。「会社から活動に補助が出るので、社内にはいろんな活動があります。ランチをしたり、飲み会をしたり、ガーデニング、スイーツ……。社内のコミュニケーション促進が目的なので、ソロキャンプは駄目なんですよ(笑)。で、僕は釣り部です」。時には船に乗って釣りに出ることも。社長も釣り部員の1人で、仕事の時とはまた違った話ができるそうです。「新入部員も募集中です!」だそうですよ♪

「あんたに任せておけば大丈夫」
さて山本さん、これからはどんな風に活躍していきたいのでしょう。
「まずはトラブルにさらに強くなりたいと、いつも思っています」。トラブルは、回避できるのが一番ですが、先輩たちの臨機応変な対応を学べるのはそれが起きたときだけ。「だからこそしっかり学んで、自分に落とし込んで対応力を上げたいです」
仕事の中で嬉しいのは「あんたに任せておけば大丈夫」と言われる瞬間。山本さんの丁寧でありつつ手際のよい荷物の積み方が信頼され、いろんな工場に行くドライバーの人たちから褒められることが多いそうです。「僕は30代ですが、今は50代の先輩方が中心となって製造部をしっかり支えてくださっています。いつか引退されるときには、先輩方からも“山本に任せておけば大丈夫”と言われるように、今から頑張っていきたいですね」

【営業事務】7人の侍を支える新ポジション
続いてお話を伺ったのは、営業部でただ1人、営業事務を任されている間瀬瞳さん。営業事務として入社して9年目ですが、実はこの「営業事務」、間瀬さんが入るまでは無かったポスト。営業時に使う書類の作成など、営業部の7人の男性たちをしっかりと支えるのが間瀬さんの仕事です。

大学でデザインを学んだ間瀬さんが尾張製粉での営業事務を選んだのは「デザイン」「事務」「半田」という3つのポイントが揃っていたからでした。
「プライベートも大切にしたかったので、オンとオフをしっかり分けてきちんと休める事務の仕事を住まいの近くで、と探していました。そんな中で、パッケージ制作などでデザイン面も関われそうな仕事なので魅力を感じました」
新卒入社で新ポジション、苦労は無かったのか訊いてみると……。
「営業さんたちがそれぞれに説明してくださるので大丈夫でした。優しい人ばかりでありがたいです。それから、尾張製粉には“メンター制度”というのがありまして、3歳上の女性の先輩が私のメンターとして1年近く、面倒をみてくださいました」。実は就職するタイミングで、半田市でのひとり暮らしを始めた間瀬さん。「仕事の相談はもちろんですが、ひとり暮らしについてもいろいろと相談にのってもらって、おかげで元気に頑張れました」

オンラインショップの運営でしっかり成果
入社から9年目となる今は、仕事でできることが増えてきたと話します。そのうち大きなひとつが、オンラインショップの運営。
「楽天ショップなどに商品を出していて、どうしたら売れるのか、デザインや言葉づくりを試行錯誤しています」。取材時、隣にいた総務の榊原さんからは「間瀬さんが頑張ってくれて、実際に売上が伸びてきている」と高評価。大学で培ったデザイン力も生きているのでしょう。「新商品のパッケージに意見を出させてもらうこともあり、やりがいを感じています」

「オンラインショップを担当するようになって、お客様の喜びの声に触れられるようになったことも嬉しいです」と間瀬さん。
営業事務は基本、外に出ていく営業職のサポートのため、社内業務が大半。そんな中オンラインショップは、購入者の反応が直に感じられる場所です。「“こんな素敵な商品を、地元の知多半島で作っているのを今まで知らなかった”とわざわざ感動をホームページへ送ってくださった方もいました。そうした声もしっかりと営業の人たちに伝えながら、営業力アップに貢献していきたいなと思います」

暮らしの中で商品を見る目に変化も
この仕事をするようになって、普段スーパーに出かけるときも商品を見る目が変わってきたそう。「小麦粉とかホットケーキミックスとか、他社商品をよく観察するようになりましたね。学生の頃はメジャーなものを何も気にせず買っていただけだったんですが。直接暮らしに結び付く商品も多い食品会社ならではだと思いますね」
営業事務として、営業の人たちに頼まれたこと以上のことを提供できるよう心掛けているという、頼もしい間瀬さん。今後はさらに、自分発信でできることを増やしていきたいと言います。「営業事務という立場上、営業さんたちをしっかりフォローするのは大前提。それに加えて“これがあればより良くなるのでは”と、自分から提案していけるようになりたいですね」
山本さんや間瀬さんの、こう成長していきたいという話の底に感じるのは、一緒に働く人たちへの静かな愛情。別々に話を訊いたのにも関わらず、周りが優しい、話がしやすい、と2人が口をそろえた社風にこそ、明治時代から140年以上続いてきた地元企業の確かな強さを感じたのでした。



