今回お邪魔する事業者さん
・阿波工業株式会社
・所在地:知多事業所/半田市川崎町1-1(JFEスチール㈱知多製造所内)
武豊工場/武豊町富貴字前田側
・創業:1964年
・従業員:220名(正社員156名+協力会社64名)
JFEの協力会社として製造に付随する重要な役割を担う阿波工業
阿波工業㈱はJFEスチール㈱の協力会社として昭和39年に創業しました。現在は拠点が2つあり、ひとつはJFEスチール構内で鋼管(=鉄パイプ)製造ラインのオペレーターの請負業務、もうひとつが武豊町の自社工場で鋼鉄製品の製作や加工業務を行っています。
今回はJFE構内でオペレーター業務に携わる山下さん(40代/入社21年目)にお話を聞いてみました。

そもそも協力会社というのはどのような仕事をしているのでしょうか。
「JFEスチール知多事業所では身近な自動車部品や建造物をはじめとする様々な鋼鉄部品を製造していますが、僕たちが携わるのはその製造に付随する作業で、加工前の材料の準備や出来上がった鋼管の切断や加工、製品の搬送になります。」

「例えば鋼管は用途によって長さや太さが異なるため、どのサイズをいくつ生産するかは日々変わります。しかし鋼管の元となる素材(いわゆるただの鉄の棒/写真上)は形がいびつで不純物が付着していることもあるため、事前に熱処理できる状態に整えておく必要があるんですね。これが材料の準備という作業です。」
つまり料理でいう下ごしらえにあたるもので、後の工程をスムーズに進めるための大切な作業なのだとか。製品となった後の切断や加工、搬送も同様で、阿波工業は“製造”そのものには携わっていないものの屋台骨を支える重要な役割を担っているとのこと。

「実際に僕が担当しているのは中径シームレスというパイプの切断と加工です。パイプといっても長さは5m以上、重さは10トン以上あるので、例えるなら車14台分くらいの重さになりますね。」

「それを更に巨大な機械で切断・加工し、クレーンで吊り上げたりします。(構内の作業写真は機密情報にあたる部分が多いため)詳しく見て頂けないのが残念ですが、扱うものが大きすぎて非日常的というか、迫力がすごくて最初はみんな圧倒されますね。」
それだけ大きな機械だと扱うのも大変なのでは?
「作業はモニターを見ながらの機械操作(オペレーション)で、その大部分がオートメーション化されているので“監視”が多めです。最初は指導担当の先輩がついて基盤の操作を教えてくれるので、機械に疎くても問題はありません。」

ただ当時の山下さんが感じた難しさは操作よりも機械そのものだったそう。
「大事な箇所はモニターで映し出されるので分かりやすいですが、操作が遠隔になるので機械の仕組みやどう動いているのか、全体の流れを理解するのが大変でした。これを分かっていないと、仮に異音や異変があった時どこで何が起きているか予測がつけられず対処できないんです。」

ただでさえエラー表示で焦るのに要因が掴めないとなれば更なるヒューマンエラーを引き起こしかねません。トラブルを最小限に防ぐためにも目先の操作だけでなく、広く深く視野を持つことが大切なのだそう。
「といっても早い人なら3か月程度あれば一人で作業ができるようになります。僕はずば抜けて覚えが悪かったので半年ほどかかりましたが…(笑)」と山下さん。
人事担当者から「扱う機械によって操作の難易度が違うので難しい作業だったんですよ」とフォローが入っていました。

トラブルを未然に防ぐために8時間の徹底したメンテナンス
ちなみに機械エラーやトラブルというのはよく起きるのでしょうか?
「ちょっとしたトラブルというのはありますよ。特にオイル系が起きやすいです。以前、重量物を搬送する機械のホースが劣化で破れ、3000リットルの油圧オイルが流出したことがあって、量が量だけにこの時ばかりはヒヤリとしました。ホースを新しいものに換えて油の補充をして3時間ほどで原状回復できましたが…。」
幸いにも稼働を妨げることなくリカバリーできたケースですが、これがもしもメインの機械トラブルだったとしたら。

「ボルト一本の緩みでも重大な設備トラブルに繋がります。だから必ず月に1度8時間をメンテナンスに充てていますし、グリス給脂など誰でも規定通りかつ正確にできるよう可視化しています。ここは僕たちだけじゃなくJFEの専門チームとの協力体制も整えています。」
作業の効率性と安全性を見直し、現場を改造する自主的な改善活動
現在、部署を統率する立場となった山下さんが注力しているのが作業場の大改造。
「とある機械に安全柵内へ入りボタンを押す作業があったんですが、手を伸ばすと機械と接触するような距離でとても危険でした。リスク回避のためにメーカーと相談して、外からのリモコン操作できるように切り替えたことがあります。」
これは自分が携わって感じていた“危険だからやめたい”作業だったそう。

「ほかにも機械の隙間にゴム製の緩衝材を敷いて騒音を軽減したり、夏と冬で動きが微妙に違う機械を調整したり、生産性の向上に直接繋がるものではないけれどスタッフの負担が減る、そんな改革をしている最中です。」
機械そのものにも改造を加えているそうで、その部品は武豊の自社工場で設計から製作まで行っているとのこと。外部発注しなくても社内で解決できる力があるため、改善案も通りやすいんだとか。

武豊工場で製作/設置した設備と溶接作業の様子

「今までこうだったからと続いている作業ってたくさんあると思うんです。そこに疑問を持てれば改善の余地って生まれるんですよね。ただ僕も入社して20年が経ち、そうした“気づき”に鈍感になっているので、出来るだけ若い子達の声を吸い上げるようにしています。」
この作業ってどうにかならないか、そもそもやる必要あるのか。時々トンデモ意見が飛び出すこともあるけれど、まずは受け止めるようと心掛けているそう。

「奇抜な意見も出たりして着眼点に驚かされます。改善も一筋縄ではいきませんが、声をあげてくれるなら応えていきたいし、社内でも一番改革が進んでいる部署だと自負しています。」

自由度が高いから生まれる向上心。福利厚生で社員を後押し
「阿波工業の良さといえば自由度の高さですね。例えば先輩後輩といった上下関係がフラットなので自分の希望を伝えやすく、新しいことに挑戦したり仕事の幅を広げるチャンスを掴みやすいです。過去には現場経験をしているうちに設計に興味を持ち、CADを学んで(武豊工場へ)転向した社員もいますよ」


阿波工業には営業や接客業など異なる分野からの転職者も多く、免許や資格の取得を積極的に後押ししているという。その頑張りは本人に還元しているため、やりがいに繋がっているんだとか。また自由度の高さ=働きやすさでもあり、有給休暇の取得率も95%超え。
「全体の70%以上が子育て世代なので子どもの行事に休みが取りやすくとても助かっています。半田市は山車(だし)祭りが盛んなので、祭りのために休むのも“あるある”です。シーズン中はお互い様ですね。」

現在は山下さんをはじめとする30~40代が中心となり、風通しの良い会社づくりに取り組んでいるそう。仕事のやりがいや福利厚生の充実など大手企業に属するゆえの安定感はもちろんのこと、現場主導で問題提起から解決まで自主的に動ける機動力こそが阿波工業の強みであり面白さなのだと感じました。
